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家賃収入にかかる税金の種類

不動産投資や資産活用の一環として、アパートやマンションを所有し家賃収入を得る方が増えています。しかし、この収入には税金がかかることをご存知でしょうか。家賃収入にかかる税金には主に所得税と住民税があり、その計算方法や税率は一般的な給与所得とは異なります。本記事では、家賃収入にかかる税金の種類や計算方法、注意点について詳しく解説します。

家賃収入の課税上の取扱い

家賃収入は、税務上「不動産所得」として扱われます。不動産所得には、単純な家賃だけでなく、様々な種類の収入が含まれます。これらの収入に対して適切に税金を納めるためには、まず家賃収入と不動産所得の定義を理解し、どのような収入が課税対象となるのかを把握しましょう。

家賃収入とは

家賃収入とは、不動産を賃貸することによって得られる収入のことを指します。一般的には、毎月の家賃が主な収入源となりますが、それ以外にも礼金などのさまざまな名目で受け取る金銭が含まれます。これらの収入は、不動産を賃貸する上で発生する付随的な収入として扱われ、課税の対象となります。

不動産所得とは

不動産所得は、家賃収入から必要経費を差し引いた金額を指します。つまり、単純な収入額ではなく、実質的な利益の部分です。不動産所得は、所得税法上の10種類の所得区分の一つとして位置付けられており、他の所得と合算して総所得金額が算出されます。不動産所得の計算には、収入から控除できる経費の範囲や計算方法に特有のルールがあり、正確な把握が重要です。

不動産所得とみなされる収入の種類

不動産所得として課税される収入には、一般的な家賃以外にも様々な種類があります。これらの収入を正確に把握し、適切に申告することが重要です。以下、主な不動産所得とみなされる収入の種類について解説します。

家賃・地代

もっとも一般的な不動産所得は、毎月の家賃や地代です。建物や土地を賃貸することで定期的に得られる収入が該当します。居住用の建物だけでなく、事業用の建物や駐車場、農地などの賃貸料も含まれます。家賃や地代は、契約書に記載された金額が収入として計上されます。未収の家賃についても、その発生した年分の収入として申告する必要があります。

礼金・更新料

賃貸契約時に一時金として受け取る礼金や、契約更新時に受け取る更新料も不動産所得に含まれます。これらは、賃貸借契約に付随して発生する収入として扱われます。礼金は新規契約時、更新料は通常2年ごとの契約更新時に発生することが多く、その受取年分の収入として申告します。金額は通常、月額家賃の1か月分から2か月分程度が一般的です。

共益費・管理費

共用部分の電気代や清掃費などとして入居者から徴収する共益費や管理費も、不動産所得として扱われます。これらは、建物の維持管理に必要な費用として徴収されますが、オーナーの収入としてカウントされます。ただし、実際にかかった管理費用は必要経費として控除できるため、収支のバランスを適切に管理することが重要です。

駐車場使用料

建物に付随する駐車場の使用料も、不動産所得に含まれます。マンションやアパートの駐車場だけでなく、月極駐車場として土地を貸し出している場合の使用料も対象となります。駐車場は建物とは別に契約されることも多いですが、建物の賃貸と一体のものとして扱われ、不動産所得として申告する必要があります。

権利金・更新料

権利金は、賃貸借契約の締結に際して、賃借人が賃貸人に支払う一時金です。店舗などの事業用物件で発生することが多く、返還されない場合は全額が不動産所得となります。一方、更新料は契約更新時に支払われる金銭で、これも不動産所得に含まれます。これらの一時金は、受け取った年分の収入として申告する必要があります。

家賃収入にかかる所得税

家賃収入に対する所得税は、不動産所得として計算されます。不動産所得の金額は、収入から必要経費を差し引いて算出します。ここでは、不動産所得の計算方法、認められる必要経費、そして適用される税率について解説します。

不動産所得の計算方法

不動産所得は、総収入金額から必要経費を差し引いて計算します。計算式は以下の通りです: 不動産所得 = 総収入金額 – 必要経費 総収入金額には、前述した家賃、礼金、更新料などすべての収入が含まれます。必要経費には、物件の管理・維持にかかる費用や減価償却費などが含まれます。赤字となった場合、他の所得と損益通算することも可能です。

必要経費として認められるもの

不動産所得の計算において、下記のような費用が必要経費として認められます。これらの経費を適切に計上することで、課税対象となる所得を減らすことができます。特に減価償却費は実際の現金支出を伴わない経費であり、節税効果が高いため、正確に計算するようにしましょう。

1、固定資産税・都市計画税
2、修繕費
3、管理委託費
4、保険料
5、減価償却費
6、ローン利子
7、広告宣伝費

所得税の税率

所得税は累進課税制度が採用されており、所得が多いほど高い税率が適用されます。2024年現在の所得税率は以下の通りですが、課税の際には、復興特別所得税としてさらに2.1%の上乗せがあります。

195万円以下5%
195万円超330万円以下10%
330万円超695万円以下20%
695万円超900万円以下23%
900万円超1,800万円以下33%
1,800万円超4,000万円以下40%
4,000万円超45%

家賃収入にかかる住民税

家賃収入に対しては、所得税だけでなく住民税も課税されます。住民税は地方税のひとつで、確定申告したときの売上などに基づいて決定され、所得税とともに負担の大きい税となります。

住民税の仕組み

住民税は、その年の1月1日現在の住所地の都道府県と市区町村に納めるべき税金です。前年の所得を基に計算され、均等割と所得割の2つの要素から構成されています。均等割は一定額を負担するもので、所得割は前年の所得に応じて計算されます。住民税は通常、給与からの天引きや個人での納付により、年間を通じて納税します。

住民税の計算方法と税率

住民税の所得割の税率は、一律10%(都道府県民税4%・市町村民税6%)です。ただし、政令指定都市の場合は都道府県民税2%、市民税8%となります。計算方法は以下の通りです。

住民税額 = 前年の所得 × 10% + 均等割額

均等割額は自治体によって異なりますが、標準的には年間5,000円程度です。所得税と異なり、住民税には累進課税制度がありません。

まとめ

家賃収入にかかる税金は、主に所得税と住民税です。これらは不動産所得として扱われ、家賃だけでなく礼金や更新料なども含まれます。税金の計算には、収入から必要経費を差し引く方法が用いられ、適切な経費計上が重要です。所得税は累進課税制度が、住民税は一律税率が適用されます。家賃収入による資産運用を行う際は、これらの税金についての理解を深め、計画的な運用を心がけることが大切です。