固定資産税とは?税率・課税額の計算方法・支払いについて解説
固定資産税は、土地や建物などの固定資産を所有している個人や法人に課せられる地方税です。投資用不動産を所有しているあいだは、収入の有無や金額にかかわらず、一定の額の固定資産税の課税があります。本記事では、固定資産税の基本的な仕組みや計算方法、特例措置などについて詳しく解説していきます。
固定資産税の基本
固定資産税は、毎年1月1日時点で固定資産を所有している個人や法人が納税義務者となります。税金は、その固定資産が所在する市町村(東京23区の場合は東京都)に納めます。課税の対象となるのは、土地、家屋、償却資産の3種類です。固定資産税は、これらの資産の評価額に基づいて計算され、通常、年4回に分けて納付します。
課税対象となる固定資産
固定資産税の課税対象は、以下の3種類に分類されます。
1、土地:宅地、田畑、山林など
2、家屋:住宅、店舗、工場、倉庫など
3、償却資産:事業用の機械、器具、備品など
土地と家屋については、登記簿に記載されている所有者が納税義務者となります。一方、償却資産については、実際にその資産を所有している事業者が納税義務者となります。
納税義務者と納税時期
固定資産税の納税義務者は、原則として毎年1月1日(賦課期日)現在の所有者です。所有者が亡くなっている場合は、相続人が納税義務を引き継ぎます。納税時期は各自治体によって異なりますが、一般的に年4回(6月、8月、10月、1月)に分けて納付します。ただし、税額が一定金額以下の場合は、年1回または2回の納付となることもあります。
固定資産税・都市計画税の計算方法
固定資産税の計算は、評価額の算出、課税標準額の決定、税率の適用という3つのステップで行われます。また、多くの自治体では固定資産税と併せて都市計画税も課税されます。ここでは、それぞれの計算方法について詳しく見ていきましょう。
評価額の算出方法
固定資産の評価額は、総務大臣が定める固定資産評価基準に基づいて、市町村の税務担当者が算出します。土地の場合は、地価公示価格の7割程度を目安に評価されます。家屋の場合は、建築費用から経年減価を考慮して算出されます。償却資産については、取得価額から減価償却費相当額を控除した金額が評価額となります。
課税標準額の決定
課税標準額は、原則として固定資産の評価額と同じですが、住宅用地などには特例措置が適用され、評価額よりも低く設定されることがあります。また、土地については、急激な税負担の増加を抑えるための負担調整措置が講じられています。
税率と税額の計算
固定資産税の標準税率は1.4%です。ただし、各自治体の条例によってこれより高い税率が設定されている場合もあります。税額は、課税標準額に税率を乗じて計算されます。
都市計画税とは?課税額と課税のタイミング
都市計画税は、都市計画事業や土地区画整理事業に要する費用に充てるための目的税です。課税対象は、市街化区域内に所在する土地と家屋で、標準税率は0.3%です。固定資産税と同じタイミングで課税され、通常は固定資産税と一緒に納付します。
固定資産税の特例措置と軽減制度
固定資産税には、様々な特例措置や軽減制度が設けられています。これらの制度は、納税者の負担を軽減し、特定の政策目的を達成するために設けられています。ここでは、主要な特例措置について解説します。
住宅用地に対する課税標準の特例
住宅用地については、その面積に応じて課税標準額が軽減される特例措置があります。その内容は下記のとおりです。
1、小規模住宅用地(200㎡以下の部分):課税標準額を評価額の1/6に軽減
2、一般住宅用地(200㎡を超える部分):課税標準額を評価額の1/3に軽減
新築住宅に対する減額措置
新築住宅に対しては、一定期間固定資産税が減額される特例措置があります。一般の住宅は3年間ですが、長期優良住宅の場合は期間が延長されます。
■一般の住宅
……新築後3年間、床面積120㎡相当分まで税額が1/2に減額
■長期優良住宅
……新築後5年間(3階建以上の耐火・準耐火建築物は7年間)、床面積120㎡相当分まで税額が1/2に減額
固定資産税に関するよくある質問
固定資産税は、物件保有中の固定費として重要な位置を占め、支払時期や金額はオーナーにとっての懸念事項となります。これらについて、よくある質問に答えてみましょう。
固定資産税の支払い方法は?
固定資産税の支払い方法には、口座振替のほか、金融機関やコンビニエンスストアでの支払い、クレジットカード払いなどがあります。一部の自治体では、スマートフォン決済アプリでの支払いにも対応しています。納税通知書が届いたら、記載されている納付方法や期限を確認し、適切な方法で納付しましょう。
固定資産税評価額に不服がある場合の対応は?
固定資産税の評価額に不服がある場合は、以下の手順で対応することができます。
1、市町村の固定資産税担当窓口に相談する
2、縦覧期間(4月1日から第1期の納期限まで)に、他の土地や家屋の評価額と比較する
3、それでも納得できない場合は、固定資産評価審査委員会に審査の申出をする
審査の申出は、納税通知書の交付を受けた日から3か月以内に行う必要があります。
まとめ
固定資産税は、不動産所有者にとって重要な税金です。その仕組みや計算方法、特例措置などを理解することで、適切な納税計画を立てることができます。万一にも評価額に疑問がある場合は、積極的に自治体に相談しましょう。適切な課税額・課税時期の見積りは、投資成功の要になります。