不動産取得税とは?不動産投資における重要ポイントを解説
不動産を購入したときは、地方税である不動産取得税の課税があります。所得税や住民税とは別であり、申告する必要がなく、取得の翌年に普通徴収されるものです。ここでは、不動産取得税の課税方法や税率、税額について整理してみましょう。
不動産取得税の基本
不動産取得税は、相続以外の方法で土地や建物を取得した際に、その取得者に課される税金です。取得の方法(売買、贈与、交換など)や、有償・無償を問わず課税されます。この税金は、地方自治体の財源として重要な役割を果たしています。不動産投資を行う際には、この税金が追加コストとなることを念頭に置く必要があります。
課税対象となる不動産
不動産取得税の課税対象となる物件は、住宅やオフィスだけとは限りません。土地の権利に関して言えば、借地権も課税対象です。具体的には、次のようなものに税金がかかると言えます。
- 土地(宅地、田畑、山林など)
- 建物(住宅、オフィス、工場など)
- 借地権(地上権、永小作権)
不動産取得税の通知および支払い時期
不動産取得税の課税に関する通知は、物件取得から3カ月から6か月後を目安に届くのが一般的です。
ただし、事例によっては、市町村での手続きの関係で1年程度かかることもあります。
支払い時期は、通知が届いた月の月末となっているのが普通です。
不動産取得税の計算方法
不動産取得税の額は、課税標準額に税率を乗じて計算されます。税率および評価については、一定の場合に軽減があります。詳しくは次のとおりです。
課税標準額
不動産取得税の課税標準額(課税額計算のもととなる評価)は、固定資産税課税台帳に記載のある額(=固定資産税評価額)です。金額については、各市町村で確認する必要はあるものの、市場価格の8割程度となるのが一般的です。なお、宅地や宅地評価土地については、課税標準額を固定資産税評価額の2分の1とします。
不動産取得税の税率と計算例
不動産取得税の税率には軽減措置があるものの、建物については住宅以外の建物が適用対象外となります。軽減税率適用後の税率は次のとおりです。
- 土地・住宅:令和8年3月31日までの取得で3%
- 住宅以外の建物:4%
例として、固定資産税評価額が1500万円の住宅および500万円の敷地を取得した場合を考えてみましょう。この場合、取引価格は2,250万円前後となるのが一般的で、不動産取得税は52万5,000円(1500万円 × 0.03 + 500万円 × 2分の1 ×0.03)となります。
不動産取得税の軽減措置と特例
不動産取得税には様々な軽減措置と特例があり、これらを適切に活用することで税負担を軽減できます。特に住宅取得に関しては手厚い軽減措置が設けられており、投資戦略を立てる上で重要なポイントとなります。
新築住宅を取得したときの軽減措置
新築住宅を取得した場合、以下の軽減措置が適用されます。本措置は、適用条件が広く、不動産投資(賃貸物件の取得)にも適用可能です。
■建物に対する軽減措置
要件 | 床面積が50㎡以上240㎡以下 ※一戸建て以外の賃貸住宅は40㎡以上240㎡以下 |
取得者 | 個人および法人 |
控除額 | 1,200万円 ※認定長期優良住宅の場合は1,300万円 |
■土地に対する軽減措置
要件 | 土地取得後3年以内に住宅を新築、または新築後1年以内に土地を取得 |
取得者 | 個人および法人 |
控除額 | 以下の1,2のいずれか高い方の額を税額から控除 1、45,000円 2、(土地1㎡あたりの価格×1/2)×(住宅の床面積×2)×3% ※住宅の床面積は1戸あたり200㎡が上限 |
中古住宅を取得したときの軽減措置
中古住宅を取得した場合も、一定の要件を満たせば軽減措置が適用されます。注意したいのは、自己の居住用に使用することが条件であり、賃貸目的での物件の取得には適用されない点です。
■建物に対する軽減措置
要件 | 床面積が50㎡以上240㎡以下 取得者が自己の居住用に使用すること 1982年1月1日以降に新築された住宅、または耐震基準に適合していることが証明された住宅 |
取得者 | 個人のみ |
控除額 | 下記リストのとおり |
■控除額: 新築された日に応じて、固定資産税評価額から以下の金額を控除
1997年4月1日以降 | 1,200万円 |
1989年4月1日~1997年3月31日 | 1,000万円 |
1985年7月1日~1989年3月31日 | 450万円 |
1981年7月1日~1985年6月30日 | 420万円 |
1976年1月1日~1981年6月30日 | 350万円 |
1973年1月1日~1975年12月31日 | 230万円 |
1964年1月1日~1972年12月31日 | 150万円 |
1954年7月1日~1963年12月31日 | 100万円 |
■土地に対する軽減措置
要件 | 中古住宅が上記の建物の軽減要件を満たすこと 土地取得後1年以内に中古住宅を取得、または中古住宅取得後1年以内に土地を取得 |
取得者 | 個人のみ |
控除額 | 以下の1,2のいずれか高い方の額を税額から控除 3、45,000円 4、(土地1㎡あたりの価格×1/2)×(住宅の床面積×2)×3% ※住宅の床面積は1戸あたり200㎡が上限 |
まとめ
投資目的で不動産を取得する場合、3%から4%程度の不動産取得税がイニシャルコストに含まれます。新築物件を取得する場合には各種軽減措置が適用されますが、中古の場合はほとんど軽減されないため注意を要します。適切な投資判断のため、物件購入前にしっかりと試算しておきましょう。